2007年 02月 28日
富士山がだんだん高くなった話

するがの富士と、しもだの富士はきょうだいでした。
しもだ富士が姉さんで、するがの富士が妹です。
とても仲よしで、小さいときからかばいあってきました。
姉さんのしもだ富士は、なにくれとなく妹の面倒をみて、雨が降れば、からかさ雲をかけてやり、風がふけば長いくものてをのばして、おおってくれました。
そして、年がたつにつれてするがの富士は、だんだん美しくなり、長いすそをふもといっぱいに広げ、朝日夕日にかがやく頬は、べにいろに染まって、そのあでやかさに誰もかないませんでした。それにひきかえて、しもだ富士はまるくふくれたボタモチのような顔で、美人ではありませんでした。妹の富士にくらべて、自分の方が美人ではない事に気が付いたしもだ富士は、むすめ心にそれがたまらない悲しみになって、だんだんと妹と顔をあわせなくなりました。
そして、とうとう伊豆とするがのあいだへ、大きなびょうぶを立てて、妹がのぞいても見えないようにしてしまいました。それは天城山です。
妹は悲しそうに「お姉さま!伊豆のお姉さま!どうかなさいましたの、お顔を見せて下さい。」と、叫びながら、爪先で立ってせのびをしました。
でも、しもだ富士は妹の声をききながら、ますます身をちぢこめて、顔を見せません。妹はますます背のびをするし、姉はからだをちぢこめました。
そのため、するがの富士は、背がどんどん高くなり、しもだの富士はますます背が低くなりました。そして、するがの富士は、日本一の高さになりました。
富士市の伝説と昔話 より
by h-kaguya
| 2007-02-28 19:22
| ☆むかしむかしのお話
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